増量期と減量期で体型が変わる人のスーツ選び|オーダーで解決


増量期と減量期で体型が変わる方のスーツは、既製品を無理に体へ合わせるのではなく、変化することを前提に設計したオーダースーツが最適解です。理由は、増減しているのが「体重」という数字ではなく、胸囲・背中・首まわり・太ももという特定の部位だからです。この記事では、愛知県稲沢市のオーダースーツ専門店として日々の採寸で見ている観点をもとに、増量期と減量期のどちらでも気持ちよく着られる一着の作り方を解説します。

増量期と減量期でスーツが合わなくなる本当の理由

体重が5kg増減したとき、その変化は全身に均等には出ません。トレーニングをしている方の場合、増量期に大きくなるのは主に大胸筋・広背筋・僧帽筋・大腿四頭筋です。逆に減量期に落ちるのは皮下脂肪が中心で、腹囲とフェイスラインから先に変わっていきます。

つまり増量期と減量期で問題になるスーツの箇所は、ウエストではなく「胸から背中にかけての立体」と「太もも」です。既製スーツはウエストを基準にサイズ展開されているため、胸と背中に合わせて大きいサイズを選ぶとウエストが余り、ウエストに合わせると肩と背中が突っ張ります。この構造的なミスマッチが、体型が変わる方がスーツを着づらいと感じる原因です。

体重よりも「どこが変わるか」を数値で把握する

増量期と減量期を繰り返す方にまずお伝えしているのは、体重ではなく部位のサイズを記録してほしいということです。具体的には胸囲、肩幅、首まわり、太もも周りの4点です。この4点の増減幅が分かると、スーツの設計で「どこに余裕を持たせ、どこを詰めるか」の判断ができます。

例えば胸囲の変動が3cm以内であれば、生地の伸縮と仕立ての工夫だけで両期間をカバーできます。一方で5cmを超える方は、ジャケットの構造そのものを変えるか、後述する調整代を大きく取る設計が必要になります。胸囲や腕の太さが気になる方は胸板と腕が厚い人のスーツ選びもあわせてご覧ください。

増量期と減量期を両立させる設計3つのポイント

1つ目は調整代を後ろ中心とサイドに確保することです。ジャケットの背中中心と脇、パンツのウエスト後ろに通常より多めの縫い代を残しておくと、体型が変わった際のサイズ直しで対応できる幅が大きくなります。作る段階で残しておかないと、後から出すことはできません。

2つ目はアームホールを高く、袖を細く設計することです。背中や肩が大きい方は、アームホールを大きくすれば楽になると考えがちですが、実際は逆です。アームホールを高い位置に小さく取ることで、腕を上げてもジャケット全体が持ち上がらず、可動域が広がります。

3つ目はウエストの絞りを控えめにすることです。減量期のシルエットに合わせて強く絞ると、増量期に着られなくなります。あえて絞りを浅くし、その分を肩と胸のラインで見せる設計にすると、どちらの時期でもだらしなく見えません。

体型変化を前提とした一着は、採寸時の情報量で仕上がりが決まります。増量期・減量期のサイズ差をお持ちいただければ、両方の時期に対応する設計をご提案します。▶ 体型変化のご相談はこちら

稲沢の店頭で実際に見ている採寸の観点

当店で体を鍛えている方を採寸する際、メジャーの数字以外に必ず確認しているのが「肩甲骨の可動」と「首の付け根の角度」です。背中を鍛えている方は肩甲骨が外側に張り出しており、直立時の採寸だけで作ると、腕を前に出した瞬間に背中が突っ張ります。そのため両腕を前で組んでいただき、その状態での背幅も測っています。

また首まわりが太い方は、首の付け根が前傾していることが多く、既製のジャケットでは襟が首から浮きます。この場合は襟腰の高さと後ろ襟のカーブを調整します。判断が分かれるのは、増量期のサイズで作るか減量期のサイズで作るかという点です。当店では、年間を通じて着用機会が多い時期のサイズを基準にし、もう一方の時期は調整代とベルト・サスペンダーで吸収する方法をおすすめしています。

生地はストレッチ性と耐久性のバランスで選ぶ

体型が変わる方には伸縮性のある生地が向いていますが、伸びればよいというものではありません。ポリウレタン混のストレッチ生地は確かによく伸びますが、混率が高すぎると経年で回復力が落ち、膝やお尻が出やすくなります。

実際におすすめしているのは、ウールの織り方自体で伸縮性を出したタイプか、ポリウレタン混率を抑えたものです。適度な伸縮と型崩れしにくさを両立できます。生地の選び方についてはストレッチ素材のスーツで詳しく解説しています。

作るタイミングは減量期の後半がおすすめ

増量期と減量期を繰り返す方から「いつ作るのがよいか」とよく聞かれます。おすすめは減量期の後半です。この時期は体のラインが明確で、筋肉の形が採寸に反映されやすいからです。増量期のピークで作ると、水分量の影響で数値が安定せず、後から緩く感じることがあります。

大会に出場される方の場合は、大会直後の絞り切った状態ではなく、その2〜3週間後の状態で採寸するのが実用的です。競技別の考え方はボディビル・フィジーク体型のスーツもご参照ください。

よくある質問

Q. 増量期と減量期でスーツを2着作るべきですか。
着用頻度が高い方であれば2着体制が理想ですが、まずは1着を調整代を多めに取って作る方法をおすすめしています。1着で両期間を乗り切れるかを試したうえで、必要に応じて2着目を検討する流れが無駄がありません。

Q. 体重が10kg変わってもサイズ直しで対応できますか。
10kgの変動になると、ジャケットの胸まわりは直しの範囲を超えることが多く、パンツのウエストとヒップは対応可能というケースが一般的です。ジャケットは調整代の範囲内、パンツは比較的柔軟に、と考えておくと現実的です。

Q. トレーニングを始めたばかりですが、今作っても大丈夫ですか。
体型が大きく変わる可能性がある時期なので、調整代を多めに残す設計をご提案します。半年から1年で体が完成してきた段階で一度お持ちいただければ、そのときの体に合わせて調整できます。

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