フィジーク体型の方がスーツ選びで満足できないのは、体型が原因ではなく「既製品の設計」が原因です。結論から言えば、広い肩と背中、絞れたウエストの落差(Vシェイプ)を数値で拾えるオーダースーツにすれば、窮屈さもだぶつきも同時に解決できます。稲沢のオーダースーツ専門店として、フィジーク体型のお客様を数多く採寸してきた経験から、既製品で合わない理由と、オーダーで押さえるべきポイントを具体的に解説します。
フィジーク体型のスーツが難しい3つの理由
メンズフィジークに代表される体型は、肩幅と広背筋が発達して上半身が逆三角に張る一方、ウエストは絞り込まれています。この「上半身の厚みとウエストの細さのギャップ」が、既製スーツの想定するサイズバランスから外れてしまうのが根本原因です。
実際に採寸していると、肩やバストに合わせて上着を選ぶとウエストがぶかぶかになり、逆にウエストで選ぶと肩や胸が張って前ボタンが引きつる、という板挟みが必ず起きます。さらに腕を回した時に肩甲骨まわりが突っ張る、袖を通すと二の腕でパンパンになる、といった動作の窮屈さもフィジーク体型ならではの悩みです。既製品売り場で何着試しても「帯に短し襷に長し」になるのは、体型が悪いのではなく、平均体型を前提にした型紙とかみ合っていないだけなのです。
既製スーツがフィジーク体型に合わない理由
既製スーツは「胸囲を基準に、ウエストは胸囲マイナス十数センチ」という平均的な体型を前提に作られています。フィジーク体型はこの差(ドロップ)が平均より大きいため、どのサイズを選んでも必ずどこかが余るか、どこかが足りません。
とくに背中は、広背筋が張っているとジャケットの下端が左右に跳ね上がり、シルエットが崩れて見えます。当店でも「サイズは合っているはずなのに後ろ姿がだらしなく見える」というご相談は、ほぼこの背中の張りが原因です。アームホール(袖ぐり)が浅い既製品だと、腕を上げた時に上着全体が持ち上がってしまう点も見逃せません。胸まわりで選んだ結果、肩幅だけが大きく余って「借り物感」が出てしまうケースも多く見られます。
オーダーで押さえるべき採寸ポイント
フィジーク体型をきれいに見せる鍵は、①肩・アームホールを動きに合わせて確保し、②胸から腹にかけて絞りを効かせ、③背中の張りをダーツと後ろ幅で逃がす、という三点です。この落差を丁寧に作ると、ジャケットを着た瞬間に鍛えた上半身のVシェイプがそのままシルエットになります。
当店では、直立時だけでなく腕を前に組んだ姿勢でも採寸し、可動域を確保します。ウエストは絞りつつも座った時に苦しくならない範囲を探るのが、フィジーク体型を得意とする店の腕の見せどころです。ラペル(下襟)の幅や絞りの位置を体格に合わせて調整すると、同じ絞りでもより脚長・小顔に見せることができます。逆三角形の体型を活かす考え方は逆三角形体型のスーツ選びでも詳しく触れています。
▶ 自分の体型でどこまで細く見せられるか気になる方は、無料相談で採寸だけでもお試しください。
大会前後で体型が変わる人のスーツの考え方
フィジーク競技者は、大会前の絞った「ステージ体型」と、オフシーズンの体型で数センチの差が出ます。当店では、日常でいちばん長く過ごすオフ寄りの体型を基準にしつつ、ウエストにサイズ調整の余地を持たせる仕立てをおすすめしています。こうしておけば、絞った時期にだけウエストがだぶつく、という失敗を避けられます。増量期・減量期のある方の考え方は増量期と減量期で体型が変わる人のスーツ選びが参考になります。
生地とストレッチ素材の選び方
筋肉質な体型ほど、生地の伸縮性が着心地を大きく左右します。当店ではストレッチ性のある素材を積極的に提案しており、肩や太ももが張っていても腕上げや歩行で突っ張りにくくなります。見た目の高級感と動きやすさを両立させたい方には、適度なハリと復元力のある目付(めつけ)の生地が扱いやすく、シワにも強いのでおすすめです。胸板や腕の厚みが気になる方は胸板が厚い・腕が太い人のスーツ選び、より細身寄りのシルエットを狙う方は細マッチョに似合うスーツもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. フィジーク体型でも細身のスーツは着られますか?
着られます。むしろウエストの絞りが活きるため、Vシェイプを強調した細身シルエットはフィジーク体型と相性が良い部類です。ただし肩とアームホールだけは可動域を確保しないと窮屈になるので、そこはオーダーで数値を調整します。実際、当店で細身に仕上げたフィジーク体型のお客様ほど「鍛えてきた体がやっと服で報われた」と感じていただけることが多いです。
Q. 既製品を直せば済みませんか?
ウエストの絞り程度なら補正できますが、肩幅・アームホール・背中の張りは既製品では直せる範囲が限られます。落差の大きいフィジーク体型は、最初からオーダーで組んだほうが結果的に満足度もコストパフォーマンスも高くなります。
Q. 大会で体型が変わっても着続けられますか?
はい。ウエストに調整代を残す仕立てにしておけば、増減量による数センチの変化には対応できます。採寸時に「体重が動く前提」を伝えていただければ、その幅を織り込んで設計します。数年単位で体づくりを続ける方は、二着目で体型変化に合わせて微調整するのも賢い選択です。
