アイスホッケー体型のスーツ選び|太もも・背中で失敗しない5つの補正


アイスホッケー体型のスーツは、既製品ではなく太ももとヒップにゆとりを持たせ、肩と背中に運動量を足したオーダーが正解です。理由は単純で、アイスホッケー体型はスケーティングで下半身が極端に発達し、前傾姿勢で背中が厚くなるという、既製スーツがまったく想定していない配分になっているからです。ウエストに合わせて買えば太ももが入らず、太ももに合わせればウエストが余る。この二択で妥協してきた方は多いはずです。

この記事では、愛知県稲沢市のオーダースーツ専門店として実際にホッケー経験者を採寸してきた立場から、部位ごとにどこをどう補正すべきかを具体的に解説します。

アイスホッケー体型のスーツが既製品で合わない3つの理由

まず、なぜ既製品では合わないのかを整理します。原因は体型の「配分」にあります。

1つ目はヒップと太もものボリュームです。スケーティングは股関節を外旋させながら押し出す動作の連続で、大殿筋・中殿筋・大腿四頭筋が同時に厚くなります。既製スラックスはウエストとヒップの差(ドロップ)を一定の比率で設計しているため、この比率から外れた瞬間に破綻します。

2つ目は前傾姿勢でついた背中の厚み。ホッケーは低い姿勢を長時間保つ競技なので、広背筋と脊柱起立筋が発達し、背中が丸みを帯びた形で厚くなります。この厚みは平面的な既製パターンでは吸収できません。

3つ目は防具由来の肩の張りです。ショルダーパッドを長年つけて可動域を確保してきた選手は、三角筋と僧帽筋が横方向に張り出す傾向があります。肩幅で選ぶと今度は胴が余ります。

結果として、既製品では「どこか1箇所に合わせて他を捨てる」しかなくなります。逆三角形に近い体型の方は、逆三角形体型のスーツ選びもあわせて読むと補正の考え方が掴みやすいはずです。

太もも・ヒップ|アイスホッケー体型のスーツで最初に破綻する部位

アイスホッケー体型のスーツで最優先に手を入れるべきは、間違いなくスラックスです。

オーダーで行う補正は主に3つあります。1つはワタリ(太もも周り)の追加。ヒップから膝上にかけての寸法を体型に合わせて増やし、座ったときに生地が突っ張らない量を確保します。2つ目は後ろ股上を深くすること。ヒップが大きい方は股上が浅いと生地が食い込み、腰の位置でウエストが持ち上がってシルエットが崩れます。3つ目が膝下から裾にかけてのテーパードです。ワタリを増やしただけだと単に太いパンツになるので、膝下を細く落として脚を長く見せます。

よく「ワタリを増やすと野暮ったくなりませんか」と聞かれますが、逆です。突っ張った状態の生地は横シワが入り、そのシワが太さを強調します。適正なゆとりを入れたほうが、脚はすっきり見えます。詳しくは太ももが太い人のスラックスで部位別に解説しています。

肩幅と背中の張り|前傾姿勢でついた筋肉への補正

ジャケット側で対応が必要になるのは、肩・背中・胸の3箇所です。

背幅と背中のイセ込みを増やして、腕を前に出したときにジャケットが引きつらないようにします。ここが足りないと、車の運転や名刺交換のたびに背中が突っ張り、ジャケットの裾が跳ね上がります。

肩は薄いパッドか、ほぼ入れない仕様が合うことが多いです。すでに三角筋で肩の形ができているので、パッドを足すと肩がいかつくなりすぎます。

アームホールは小さめ、袖幅はやや太め。アームホールを大きくすると一見ラクそうですが、実際は脇の下でジャケット全体が引っ張られて可動域が下がります。小さく高い位置につけて、袖側でゆとりを取るほうが動けます。背中の窮屈さが主訴の方は背中が張ってジャケットが上がる原因も参考にしてください。

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首まわりとシャツ|ジャケット以上に窮屈さが出る場所

意外に見落とされがちですが、ホッケー経験者は首が太い方が非常に多いです。ヘルメットとネックガードを支える首の筋肉、そして僧帽筋の発達が重なるためです。

既製シャツで首まわりに合わせると、胸囲が大きすぎて胴がだぶつきます。逆に体に合わせると、ネクタイを締めた瞬間に息苦しくなる。ここはオーダーシャツで首まわりと胸囲を独立して指定するのがもっとも確実です。

襟型は、首が太い方ほど開きの狭いレギュラーカラーやセミワイドが収まります。ワイドスプレッドは首の太さを横に強調してしまうことがあるためです。首まわりの詳細は首が太い人のスーツとシャツにまとめています。

稲沢の店頭で実際に見ているアイスホッケー体型の採寸ポイント

ここからは、実際の採寸で当店が確認している点をお伝えします。

まず立位だけで採寸を終わらせないこと。ホッケー経験者は普段の立ち姿勢でも骨盤がやや前傾していることが多く、直立で測った寸法だけだと、実際に歩いたときにスラックスの前が浮きます。当店では軽く座ってもらった状態と、腕を前に組んでもらった状態の2つを必ず確認しています。

次に左右差。シュートの利き手側で肩の高さや背中の厚みが違う方が一定数います。特に長くディフェンスをやってきた方は、体をひねる動作の蓄積で左右差が出やすい印象です。片側だけ袖丈を5mm変える、肩の傾斜を左右で変える、といった調整で仕上がりが目に見えて変わります。

そして現役か引退後かで設計を変えること。現役の方は今の体型ぴったりに寄せると数年で着られなくなるため、ウエストの縫い代を多めに残します。一方、引退して数年経っている方は下半身のボリュームが落ち始めるので、そこを見越しすぎると最初から緩い服になります。ここは正解が分かれる部分なので、必ず現状と今後の見込みを伺ったうえで決めています。

生地選び|ストレッチ素材とシーズンの考え方

アイスホッケー体型の方には、横方向に伸びるストレッチ生地を強くおすすめしています。太ももとヒップは、座る・階段を上がるといった日常動作でもっとも生地が引っ張られる場所です。ここに伸びのない生地を使うと、寸法が正しくても着心地が硬く感じられ、膝が出やすくなります。

色柄は、下半身のボリュームを目立たせたくないならネイビーやチャコールの無地〜細かい織り柄が無難です。明るいグレーや大きめのチェックは、面積の大きい太ももで柄が間延びして見えることがあります。

仕立ての時期については、秋冬物を着たいなら8〜9月頃から相談を始めるのが安心です。秋冬スーツの仕立て時期も参考にしてください。

よくある質問

Q. 現役選手ですが、体型が変わりそうでオーダーに踏み切れません。
A. ウエストとワタリに縫い代を多めに残す仕様にすれば、ある程度の増減はお直しで吸収できます。当店では現役の方には最初からその前提でパターンを引いています。増量期と減量期がはっきりしている方は、そのサイクルもお聞きしたうえで基準を決めます。

Q. スラックスだけオーダーすることはできますか。
A. 可能です。ジャケットは既製で何とかなるが、パンツだけどうしても入らないというご相談は実際に多いです。上下でメーカーが違っても違和感が出にくい色・素材を選べば十分成立します。

Q. 引退してから体型が変わりました。今作っても大丈夫でしょうか。
A. 体重の変動が落ち着いているかどうかが判断基準です。落ち着いていればそのまま作って問題ありません。まだ減っている途中であれば、その旨をお伝えいただければ縫い代や仕様で対応します。無理に急ぐ必要はないので、まずはご相談ください。

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