水泳・競泳体型のスーツ選びは、既製品ではなくオーダーが正解です。長年泳ぎ込んだ体は肩と背中の広がりが大きく、ウエストが締まったV字シルエットになるため、肩や胸に合わせて既製スーツを選ぶとウエストがブカブカに、ウエストに合わせると肩・背中がパツパツになってしまうからです。稲沢のオーダースーツ専門店として競泳経験者を実際に採寸してきた経験から、水泳体型の悩みを根本から解決するポイントを具体的に解説します。
なぜ水泳・競泳体型は既製スーツが合わないのか
競泳選手やマスターズスイマーの体は、広背筋が大きく発達し、肩の三角筋も張り出しているのが特徴です。いわゆる「逆三角形」の中でも、背中の広がりが特に顕著なタイプといえます。既製スーツは日本人の平均体型を基準にパターンが作られているため、肩幅と背幅が規格を大きく上回る水泳体型では、そもそも土台が合いません。
さらに、クロールやバタフライで腕を回す動作を繰り返してきた体は、肩がやや前方に入った「巻き肩」気味になっている方も多く見られます。この姿勢の癖も、背中に横ジワが出たり襟が浮いたりする原因になります。既製品を無理に着ると、肩を動かした瞬間に生地が突っ張り、一日中窮屈さがつきまといます。逆三角形体型のスーツ選びとも共通する悩みですが、水泳体型は背中の厚みと広さがより際立つ点に注意が必要です。
水泳体型がジャケットで抱える3つの悩み
採寸の現場で競泳経験者から実際によく聞くのは、次の3つの悩みです。1つ目は肩と背中の突っ張り。腕を前に出すとジャケットが背中で引っ張られ、肩が凝るという声が非常に多いです。2つ目は袖付け(肩と袖の縫い目)に出る斜めのシワ。発達した三角筋が生地を押し上げ、既製品では美しいラインが出ません。3つ目はウエストの余りで、背中に合わせるとお腹まわりがだぶつき、だらしない印象になってしまいます。
これらは体型の問題ではなく、体に合っていないスーツの問題です。背中が張ってジャケットが浮く悩みと同様に、オーダーで一つずつ採寸に反映すれば解決できます。
オーダーで解決する採寸・仕立てのポイント
水泳体型を美しく仕立てる鍵は、背中の可動域を確保しながらウエストを絞ることです。具体的には、背幅と肩幅を実寸に合わせて広く取り、アームホール(袖ぐり)は高く小さめに設定します。アームホールを高くすると、腕を上げても身頃が一緒に持ち上がらず、可動性が格段に上がります。背中には「アクションプリーツ」を入れて腕を前に出す余裕を持たせ、その上でウエストを引き締めればV字の美しいシルエットが生まれます。
巻き肩の方には肩のパッド量と前振り(袖の角度)を調整し、襟が浮かないようにネックポイントを合わせます。こうした一つひとつの調整は、体型を測ってパターンを作り起こすオーダーだからこそ可能です。肩幅が広い人のスーツ選びで解説した肩の設計も、水泳体型には特に重要です。
「肩や背中の窮屈さを一度リセットしたい」という方は、体型に合わせたパターンで一着仕立ててみませんか。無料相談で採寸のポイントをご案内します。
生地とディテールの選び方
水泳体型には、伸縮性のあるストレッチ素材を強くおすすめします。背中や肩の可動域が大きい分、動いたときに生地が追従してくれると快適さが段違いです。色は濃紺(ネイビー)が万能で、V字シルエットを引き締めて見せてくれます。ベントはサイドベンツにすると、発達したお尻や太ももまわりの窮屈さを避けつつ動きやすくなります。ラペル幅は標準からやや広めにすると、広い胸板とのバランスが取りやすくなります。
競泳経験者を採寸して見えた判断ポイント
実際に競泳・水泳経験者を採寸していると、同じ「広い背中」でも人によって最適解が分かれます。たとえば現役でハードに泳いでいる方は可動域を最優先し、アクションプリーツやストレッチ裏地を厚めに入れます。一方、引退後で体型が落ち着いてきた方は、シルエットの美しさを優先してウエストの絞りを効かせる設計にすることが多いです。
また、左右どちらかの肩が呼吸のしやすさの都合で下がっている方も少なくありません。当店では左右の肩の高さを個別に測り、パッド量で補正します。こうした「平均値では測れない一人ひとりの体の癖」を拾えるかどうかが、着心地を決める分かれ目です。既製品の吊るしを何着試しても解決しなかった悩みが、採寸一回で見通せることは珍しくありません。
よくある質問
Q. 現役を引退して体型が変わりそうですが、今作っても大丈夫ですか?
A. 問題ありません。ある程度の体型変化はサイズ直しで対応できるよう、ウエストや胴回りに調整代を残して仕立てることが可能です。採寸時に「今後絞る予定」「増える見込み」などをお伝えいただければ、それを前提に設計します。
Q. 肩や背中が張っていても、細く見えるスーツはできますか?
A. できます。ウエストを絞りVゾーンを深めに取ることで、広い背中を活かしつつ全体はシャープに見せられます。濃色のストレッチ生地とサイドベンツの組み合わせが、着痩せと動きやすさを両立します。
Q. 採寸にはどのくらい時間がかかりますか?
A. 初回はカウンセリングと採寸を合わせて60分ほどを目安にしています。体の癖や悩みをうかがいながら丁寧に測るため、余裕を持ってお越しいただくと安心です。
